光内亘利の作品に登場する存在は、特定の年齢や役割を持たず、子どもと大人、現実と想像のあいだを静かに漂っています。猫やウサギ、人物といったモチーフは、物語を語るための登場人物ではなく、相反する感情を受け止める器として描かれています。
画面には、強さと脆さ、優しさと不安、親しさと孤独といった感覚が、一つに整理されることなく共存しています。それらは、幼い頃の記憶や感情が現在の感覚と重なり合う瞬間を思わせ、鑑賞者それぞれの記憶や心情と静かに響き合います。
光内にとって絵画とは、物語を説明するためのものではなく、言葉になる前の感情や、思い出しかけている記憶の断片を留めておくための場所です。作品に描かれた存在たちは、英雄にも怪物にもなりきることなく、その曖昧さを抱えたまま佇んでいます。その余白こそが、鑑賞者に自由な解釈を促し、それぞれの内面と対話する静かな時間を生み出しています。